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Homilog

たまに頑張る。

培養肉がオタクカルチャーと共に世界へ?!シンギュラリティ大学のピッチイベントを見てきたよ

シンギュラリティ大学グローバルインパクトチャレンジ優勝セレモニーの観覧に当選したので行ってきた!

このチャレンジは、シンギュラリティ大学が主宰するアクセラレータプログラムのオーディション。貧困や環境問題などの世界規模で直面している問題を解決するためのアイデアを募り、優勝者は夏にシンギュラリティ大学で開催される10週間の短期集中企業カリキュラムに参加できる。

これまでたくさんのスタートアップのピッチイベントに参加してきたけど、アイデアやビジネスモデルの種類や質が特殊で、ファイナリストの面々も開発者や研究者など、作り手が多かったのが印象的だったので、印象に残った部分を備忘録的にまとめてみる。

指数関数的に発展する技術

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イベント冒頭では、Mozilla LabやGoogleでの経験があるPascal Fenette氏が、ムーアの法則を例に、指数関数的に伸びていく科学技術の歴史について解説。その成長にあわせて変化を続ける社会に対して自身の考えを述べた。

The 6 Ds of Tech Disruption

The 6 Ds of Tech Disruptionは、技術の進歩における6つの連鎖反応。デジタル化を例にするならば以下のようになる。

  1. Digitized(デジタル化)->
  2. Deceptive(結果がすぐに出ないため、停滞しているかのように見えてしまう指数関数的な成長)->
  3. Disruptive(既存市場の崩壊)->
  4. Demonetized(貨幣の価値が失われる)->
  5. Dematerialized(分散していた機能が一つに収束される)->
  6. Democratized(誰もが知識にアクセスできるようになる)

初号機がひどくお粗末でだれも使わないようなデジカメが、現代では当たり前に使われるように、The 6 Ds of Tech Disruptionは、0から0から0へいき、そしていずれDisruptionが起きて、技術的なブレークスルーが発生する過程を説明できる。

Abundance

本や音楽などは、デジタル化することで、誰でも簡単にアクセスできるようになった。販売する側も、コピーをつくるコストが小さくなった。情報へのアクセスという観点では、Wikipedia使うことで、ブリタニカのような分厚い百科事典を調べずとも、簡単に知識にアクセスし無償で情報を得ることができる。

デジタル化は、情報を求めている人に即時に提供できる仕組みを実現した。まるで患者に処方箋を提供する医者のように、今後は、患者が求める時に必要な分だけ提供できるサブスクリプションモデルが、ますます主流になっていく。

Think&ACT BIG

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人類が誕生した700万年前から、人間は、生き残るために自身の成長を本能的に追及するようにインプットされている。成長は、課題の規模と強度の掛け算ではかることができる。

あらゆるものが豊かになり、誰もが気軽に知識にアクセスして、体験ができるようになった世の中は、混沌(カオス)としている。カオスのなかで生きる私たちが、自身の成長をより促すためには、型にとらわれない、"分別のない考え方"が重要になってくる。

食料危機、エネルギー不足、人類が直面する課題に対する6つの解決策

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ファイナリストたちによる、合計6つのビジネスアイデアが披露された。

(食料危機)

  • Shojinmeat Project:自宅で簡単に細胞を作れるキットと作るべく研究を進めている。培養肉を生成できるキットを作り、将来的には火星で培養肉工場を作りたい。

(エネルギー)

  • 嵐(ハリケーン)など起きやすい場所にタービンを置き、そこで得た水素をエネルギー源として使えるようにする。

(健康:メンタルヘルス

  • 世界で12億人いるうつ患者に仮想空間を提供することで救いたい。CBT(認知行動療法)と呼ばれる、考え方によって感情がコントロールできる手法を使い、SPARXというソーシャルゲームを使ったうつ病治療を考えた。仮想世界で拡張的な経験をすることで、うつ病やストレスが軽減する。AIを使って、ポジティブな考え方などを醸成する仕組みを作りたい。あわせて、ARやVRなども統合することで、コンピューターがユーザーの知能や精神を自然なかたちで、改善できるようになエコシステムを作りたい。

(幼児教育)

(食料危機)

  • Carry-on personal nano-farmと呼ばれる、クローゼットやキャリーケースで野菜を気軽に栽培できる仕組みをAIを用いて作りたい。

(ロボティクス)

  • GITAI:テレポートをするロボット(ソフトウェア&ハードウェア)を開発している。動きだけでなく、触覚も同期。人型ロボットを動かす際に、無線化することができるようになった。GITAIの強みは人を安全に移動させるための、テレポーテーション。

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目標設定と成果の融合:ランドマークチャレンジとグランドチャレンジ

続いて、ソニーコンピュータサイエンス研究所取締役所長の北野氏とロボット工学者の石黒氏の基調講演で印象に残ったことをまとめておく。

北野氏は、現在3つのプロジェクトを同時並行で進めている。1つは「2050年までに、サッカーの世界チャンピオンに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」ロボカッププロジェクト、2つめに「インフラのない場所でも、東京やシンガポールのような生活水準を実現する」Sustainable Living Architectureプロジェクト、3つめに「2050年までに、自律的に研究を行うAI Scientistがノーベル賞委員会に人間ではないと気づかれずにノーベル賞を受賞できるか?」というノーベル賞プロジェクト。

北野氏は、目標を決める際に「必ずぶれないもの」を目標に設定しているそう。さらに、目標を達成するためのプロジェクトは、ランドマークチャレンジとグランドチャレンジに分けて考えている。ロボカップはあくまでも注目されるためのランドマークチャレンジ。そこから生まれる技術を、本命のノーベル賞などのグランドチャレンジに活かしたいと考えているそうだ。

続いて、石黒氏は、「10年後、100年後、1000年後の未来」というテーマで、ロボットと私たちのアイデンティティの変化に関する基調講演をした。

印象的だったのは、人間の科学的理解(認知・脳科学)のサイクルの部分。人間理解とロボットの改善の間には、仮説検証が何度も繰り返されているそうだ。このサイクルは、自社開発のサービスのマーケティング活動にも置き換えられるなぁと思った。

締めに、人間という存在は動物+技術ででてきているという名言を語っていたので、メモ。

「人間の能力を拡張する新しい技術は、
今の世に生き残るという使命を帯びた人間にとっては非常に魅力的なもの。それを手に入れ、生活を豊かにすることは、人間にとっての本能的な欲求。

動物+技術でできている人間は、技術を享受することで、より自分の存在価値を認識する。」

まとめ

優勝者は、培養肉を自宅で作成するキットを開発するShojinmeatCulture。

他とは一線を画すようなユニークなアイデアが印象的で、発表者(代表?)の羽生さんのキャラクターも「年収60万、実家暮らし、彼女いない歴=年齢」とみんなの前で語るくらい、ピカイチに光っていたので、この結果はうれしかった。笑

ファイナリストの全員が、ユニークなビジョン・世界観を掲げていたけど、羽生さんのビションは特に具体的だった。例えば、家庭で培養肉を作るのが当たり前になる文化の育成だったり、最終的なゴールは宇宙で培養肉を栽培する施設を作るというビジョンだったり。やっていることはとても複雑で理解できないだろうけれど、ビジョンが明確な分、熱量が伝わりやすかった。

イベントを通じて、自分が夢中になれることと、世界の人たちが抱えている課題を救うための方法が重なっていることは、モチベーションを維持する上でとても重要だなぁ、と思った。

モチベーションが維持できれば、すぐに結果が出なくとも、活動を持続できる。革新的でDisruptiveなスタートアップのビジネスモデルをスケールさせるためには、長期的なビジョンとモチベーションの維持が重要なのかな、と感じた。

こういうイベントに出席して刺激を受けると、ただ文章を書いて頭でっかちになっている自分の小ささに「あぁ...」となる。笑 私も小さくても良いから、少しでもひとの人生を変えられるようなものを作りたい。これを機に自分が広げられそうなことやアイデアを考える癖を付けよう:)

(W:3.5-4H)